
送電線下の家は安くなる理由は?売却時の注意点も紹介
「送電線の下にある家は、売却時に価格が下がるのだろうか」――そう疑問に思われる方も多いことでしょう。送電線下の物件は一般的な住宅とは異なる特徴があるため、売却を検討する際にさまざまな不安や疑問が生じがちです。本記事では、送電線下の家が売却価格にどのような影響を受けるのか、また注意すべきポイントや実際の売却の流れについて分かりやすく解説していきます。安心して取引を進めるための参考にしてください。
送電線下の家が売却価格に影響を与える理由
送電線下の家では、まず電圧の違いによって定められる「建築制限」が大きな影響を及ぼします。特に、使用電圧が17万ボルトを超える場合には、送電線の直下およびその側方3メートル以内には住宅の建築が認められておらず、この範囲は建築基準法や経済産業省令により明確に規定されています。また、電圧が17万ボルト以下であっても、安全を確保するため一定の離隔距離が設けられており、実質的な利用可能面積が制限されることがあります 。
こうした建築制限により、敷地の一部が活用できない分、売買の際には価格が下がる傾向があります。さらに、外観上の影響として、送電線や鉄塔が近くにあると景観が損なわれる印象を与え、購入希望者から敬遠されるケースも少なくありません。加えて、強風時には送電線の風切り音など騒音が問題視されやすく、これらが総合的に売却価格にマイナスの影響を与えます 。
心理的側面でも、送電線下の土地は「嫌悪施設」として認識される可能性があります。例えば、「電磁波による健康への不安」や「子どもを住まわせたくない」というイメージが購入をためらわせる要因となります。科学的には国際ガイドラインにおいて明確な健康被害は確認されていないものの、こうした心理的抵抗感が売却時には無視できない影響を及ぼすことがあります 。
以下に、送電線下の家が売却に影響を及ぼす主なポイントを三項目で整理いたします。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 建築制限 | 電圧により直下・側方一定距離に建築不可の範囲が定められている |
| 価格への影響 | 利用可能面積の減少や景観・騒音の懸念により売却価格が低下しやすい |
| 心理的抵抗 | 電磁波や見た目の影響などにより「嫌悪施設」として敬遠される可能性 |
送電線下でも補償や評価面での配慮ポイント
送電線の真下にある土地を売却する際は、補償や評価に関していくつか注意すべき点があります。
まず、送電線を設置するための契約には、「地役権設定契約」や「使用承諾書」など複数の形態があります。地役権が登記されている場合、登記事項証明書(乙区)で確認でき、継続的な使用権として補償が一括で支払われることが多いです。一方、使用承諾書は期限付きで登記されず、黙示使用では契約書さえ存在しないケースもありますので、権利関係の把握が重要です。
さらに、線下補償料が支払われている土地もあります。たとえば、一例として敷地面積(㎡)に応じて「年間約2,000円/㎡」、100㎡であれば年間20万円ほど支給されるケースも報告されています。とはいえ地域や契約形態によって異なるため、正確な補償額や支払い形態の確認は不可欠です。
また、評価額の算定と実際の売却価格には乖離が生じることがあります。特に「高圧線下」など建築制限がある場合には、相続税評価や資産評価では評価減が認められるケースがあり、一部では建築不可なら50%、制限ありなら30%の評価減が可能とされています。それに対し、実際の売却価格では心理的瑕疵や再建築不可の印象から、評価以上に価格が下がる場合もあるため、査定前に制限内容や評価方法を専門家に確認することが望ましいです。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 契約形態 | 地役権設定、使用承諾書、黙示使用かを把握 |
| 補償の有無 | 年間補償の有無と金額を確認(例:㎡×金額) |
| 評価との乖離 | 相続税評価と市場価格の差を意識して査定 |
送電線下の売却における価格の目安と傾向
送電線下の土地は、建築制限や利用制限があることで評価額が下がる傾向にあり、実際の相続税評価においては、土地の利用制限の程度によって以下のような評価減率が適用されます。
● 建物の建築がまったくできない場合:評価額が50%減(更地価格の50%)
● 建物の構造や用途に制限がある場合:評価額が30%減(更地価格の70%)
こうした評価減率を踏まえると、送電線下の土地は更地価格の30%~50%程度に低く見積もられる可能性があります。ただし、税務評価と実際の売却価格は異なることがあり、売却市場では必ずしも同様の割合で価格差が出るとは限りません。
都内郊外など、土地の需要が高く、住宅地として人気のエリアでは、相場価格との差が比較的小さくなるケースもあります。つまり、送電線下でも「思ったほど価格差がない」といった傾向が見られることもあります。
また相続時に相続税評価額を引き下げる目的で、送電線の影響を活用して評価を低くすることで節税につなげるケースもあります。こうした実務上の判断は、税理士や不動産の専門家による査定が重要となります。
| 評価状況 | 評価額の目安 |
|---|---|
| 建築不可の場合 | 更地価格の約50%程度 |
| 用途・構造制限がある場合 | 更地価格の約70%程度 |
| 売却市場でのケース | 地域の需要や心理的影響によって差異あり |
このように、送電線下の土地の価格目安は、評価減率の適用によって明らかになりますが、実際の売却では地域性や需要、心理的要因によって価格差が小さくなる可能性もあります。売却前には、評価と市場価格の両面から慎重に検討することをおすすめします。
売却前に準備すべき確認事項と進め方の流れ
送電線下のご自宅を安心して売却するためには、事前にしっかりと確認し、売却をスムーズに進めるための準備が欠かせません。以下のようなステップで進めていきましょう。
| 確認項目 | 内容の確認方法 | チェックの目的 |
|---|---|---|
| 送電線の種類・電圧 | 現地の標識や電柱の表示を確認し、電力会社に問い合わせ | 電圧による建築制限や評価への反映を把握するため |
| 地役権の登記の有無 | 登記事項証明書の「乙区」を確認 | 建築制限の有無や補償条件を法的に把握するため |
| 補償契約の内容 | 電力会社との契約書や図面を確認、契約の有無は電力会社に照会 | 補償金の継続可否や売却時の交渉材料を整理するため |
まず、送電線の種類は「低圧」「高圧」「特別高圧」に分類されます。現地で鉄塔や標識に記載されている情報を確認し、具体的な電圧や設置者を把握してください。それを元に電力会社へ問い合わせることで、法令に定められた建築制限の内容や設置範囲を確認できます。特に電圧17万ボルト以上か未満かで制限内容が大きく異なるため、正確な確認が重要です。
次に、登記事項証明書の「乙区」で地役権が登記されているかを確認しましょう。地役権の登記がある場合は、電力会社がどの部分の土地にどのような制限を設定しているか明示されています。登記がなければ、後から補償契約が未登記と言われるケースもあるため、現地と書類の両面で確認が必要です。
また、補償契約の有無とその内容も重要です。地役権が登記されていなくても、電力会社と架設保持契約が結ばれ、年払いの補償を受けている場合があります。契約書や図面から補償の継続可否や範囲を確認し、それがあるか否かは買主との交渉や評価額にも影響します。
こうした情報を整理した上で、不動産査定を依頼される際には、補償契約や建築制限についても査定側に正確に伝えてください。重要事項説明にも関わるため、隠さずに伝えることでトラブルを防ぎ、売却をスムーズに進めることができます。
まとめ
送電線下の家は、建築制限や心理的敬遠、補償の有無など、売却価格に影響を与えるさまざまな要素があります。適切な知識と準備があれば、売却時の不安を軽減できる可能性があります。登記事項や補償契約の内容を事前にしっかりと確認し、査定依頼の際にはその情報を正確に伝えることが大切です。送電線下の物件でも、評価基準や売却価格の傾向を理解すれば、納得のいく売却へとつなげることができます。
「今の家に住み続けながら資金も手にしたい」とお考えではありませんか。そんな願いをかなえる方法のひとつが「リースバック」です。しかし、仕組みがよく分からず、不安を感じている方も多いでしょう。この記事では、リースバックの基本から、利用する前に押さえておきたい大切なポイントまで、幅広く分かりやすくご説明します。選択に迷う方も、ぜひ最後までご覧ください。
リースバックとは何か、その仕組みと基本的な流れ
リースバックとは、自宅を売却してまとまった現金を得たうえで、売却したご自宅と賃貸借契約を結び、毎月家賃を支払うことでそのまま住み続けられる仕組みを指します。正式には「セール&リースバック」といい、不動産会社や専門事業者、投資家が買主となる形式が一般的です 。
仕組みの流れとしては、まずご自宅を売却し、その売却代金で住宅ローンを完済(アンダーローンの状態)し、所有権を買主に移転します。その後、買主との間で賃貸借契約を締結し、賃料を支払うことで引き続き同じ住まいに暮らせます 。
リースバックをご利用いただける条件としては、以下のような点が挙げられます:全所有者の同意があること、住宅ローン残高が売却価格を超えていないこと(アンダーローンであること)、物件に一定の資産価値があり、賃料を支払う能力があることなどです 。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 売却と同時の賃貸借契約 | 所有権を移転しつつ、賃貸契約で住み続けられる仕組み |
| ローン残債が売却価格以下 | アンダーローンであることが基本的な条件 |
| 利用可能な物件 | 戸建て、マンション、土地など評価可能な物件に限られる |
このように、リースバックはご自宅を手放さず現金化する手段として、その仕組みと条件を正しく理解することが重要になります。
リースバックの主なメリット
リースバックには、売却後も慣れ親しんだ暮らしを続けられる、まとまった資金を迅速に得られる、各種維持費や税負担が軽減される、といった複数のメリットがあります。以下に、誰でも理解しやすいように整理してご紹介いたします。
| メリット | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 住み慣れた環境を維持できる | 引っ越し不要で、今まで通りに生活を続けられます。 | 生活の継続性が確保される点が魅力です。 |
| 迅速な資金調達が可能 | 売却によってまとまった現金を手に入れ、使い道に制限はありません。 | すぐに資金が必要な場合に有効です。 |
| 維持費や税負担の軽減 | 売却後は固定資産税や火災保険料、修繕・管理の負担が不要になります。 | 毎月の支払先が家賃に集約され、家計がすっきりします。 |
まず、リースバックでは住宅を売却したあとも、賃貸として同じ住まいに住み続けることができます。つまり、引っ越しの手間や生活環境の変化を避けられるため、特に高齢の方や家族構成に変化が少ない場合に安心です。
次に、売却と賃貸契約の同時手続きによって、短期間でまとまった現金を調達できるのも大きな利点です。また、その資金の使い道には制限がないため、ご自身の事情に応じて自由に活用できます。
さらに、リースバックを利用すると、固定資産税や火災保険料、修繕積立金など、自宅を所有していると発生する様々な負担から解放されます。固定資産税は売却年は日割り精算が行われ、それ以降の税金は不動産会社が負担するのが一般的です(例:1月1日時点での所有者が支払い義務を負い、日割りで精算されます)。その結果、維持費や税の負担が家賃に集約され、支出管理がシンプルになります。
リースバックの主なデメリットや注意点
リースバックには、魅力的な仕組みでありながら、検討する際に見逃せない注意点がいくつかありますので、以下に整理してお伝えいたします。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 売却価格が市場価格より低くなる | リースバックの売却価格は、市場価格の70〜90%程度になることが多く、物件の売却時に得られる金額が通常の売却より少なくなる点にご注意ください。 |
| 家賃が相場より高くなる可能性 | 家賃は売却価格に期待利回りを掛けた金額で決まり、一般的な賃貸相場より高めに設定されることが多く、毎月の負担が大きくなることもあります。 |
| 賃貸契約期間の制限 | 定期借家契約などの場合、契約期間満了後に住み続けられない可能性があり、将来の生活プランや契約内容の確認が必要です。 |
まず、売却価格についてです。リースバックの買取価格は、不動産市場の一般的な取引に比べて低めに設定されることが多いです。市場価格の約七割から九割程度となるケースが見られますが、これはリースバック事業者が転売や貸し出しに自由が限定されるリスクを避けるためです。物件の制約を抱えたまま購入する形となるため、業者はその分、割引を前提に買取価格を算出します。ですので、ご自身が受け取る資金は、市場価格より少なくなることがあることを、最初にご理解ください。
次に、家賃の設定についてです。リースバック後の家賃は、売却価格に事業者が設定する期待利回りを掛け、年額としたものを月割りして決まります。期待利回りは一般的に6〜13%程度となり、この数値が高くなるほど家賃も高くなります。また、通常の賃貸とは異なり、周辺の市場相場ではなく、あくまで投資回収の観点から家賃が定められるため、相場より高くなる傾向があります。例えば、売却価格が高いほど、また期待利回りが高いほど、負担は重くなる可能性があります。
さらに、契約形態によっては住み続けられる期間に制限がある点にも注意が必要です。リースバックでは「定期借家契約」を利用する場合、契約期間終了後に再契約が認められないことがあり、長く住むつもりでも住み続けられないリスクがあります。一方で、「普通借家契約」であれば、更新手続きにより継続居住が可能ですが、売却価格や家賃設定に影響を及ぼすこともありますので、どちらの契約を選ぶか慎重に検討することが重要です。
このように、リースバックは「住み慣れた家に住み続けられる」という大きなメリットがある一方で、売却価格や家賃、契約内容などに注意すべき点も多くございます。ご自身の資金計画や長期的なライフプランとの整合性を見ながら、慎重にご検討いただくことをおすすめいたします。
契約前に確認すべきポイントと検討の視点
リースバックをご検討される際には、契約前に以下のようなポイントをしっかりご確認いただくことが重要です。これにより、ご自身の資金計画や暮らしの継続性が確実になり、安心してご利用いただけます。
| 確認項目 | 内容 | 検討の視点 |
|---|---|---|
| 売却価格と家賃設定 | 売却価格が適正であるか、家賃が利回りや相場から妥当な水準かを確認する | 売却価格が低すぎると資金が不足し、高すぎると家賃負担が重くなる可能性があります。利回り6〜13%で家賃が設定されることが多いため、収支のバランスをよくシミュレーションしてください。 |
| 契約期間・更新の可否 | 普通借家契約か定期借家契約か、契約期間や更新の条件を確認する | 普通借家契約なら長期居住が可能ですが、定期借家契約では更新不可の可能性があります。再契約や再売買の条件(価格・期間など)も明記されているか確認しましょう。 |
| 契約内容の明記と修繕・退去責任 | 再売買予約、原状回復、修繕負担、禁止事項などが契約書に明確に記載されているか確認する | 口約束では後になって争いになる恐れがあります。設備故障や二重契約の禁止事項、再売買の金額・期間など、契約書に明記されていることを必ずご確認ください。 |
これらの確認を通して、ご自身のライフプランや資金計画と整合性が取れているかを検討することが大切です。住み続けたい期間や資金の使い道、家族の将来設計などを踏まえながら、ご納得のいく条件でご契約いただけるよう、しっかりご相談・ご確認いただくことをおすすめいたします。
まとめ
リースバックは、ご自宅を売却した後も今まで通り住み続けられるという独自の仕組みを持っています。引っ越しの手間や環境の変化に不安を感じる方にとって、大きな安心につながるでしょう。また、まとまった資金を早期に確保できるほか、将来の買い戻しも視野に入れた柔軟な対応が可能です。その一方で、市場価格より売却額が下がることや家賃設定など、細かな条件には注意すべき点も多くあります。リースバックを検討する際は、ご自身の今後の生活設計や資金計画と照らし合わせ、慎重に判断することが大切です。理解を深め、納得のいく選択をしていきましょう。
【おすすめ関連記事はこちら】

